「……というわけで、文芸部は絶対に廃部にしない。実代と一緒にいるのは楽しいし、実代も楽しんでいると思うから、実代と別れるのも嫌だ。確かに恋愛とは少し違うかもしれないけど、僕たちにはお似合いだと思うし、先には本当の恋愛が待っているかもしれない。そもそも、事の発端の誤解は今度、家に来ればわかるさ。姉さんを紹介する」カルティエ 結婚指輪
ああだこうだと、僕が喋ること十数分。すっかり胸の内を吐き出して、思わず大きく一息ついた。さて、実代はどうしただろうと彼女の様子を窺うと、何故か優しく笑っていた。 おかしい。何故喧嘩をしている最中なのに、彼女は笑っているのだろうか。 不敵な笑みなら理解できる。あの余裕のある表情で見られると、少し萎縮してしまう。喧嘩のときの表情としては効果的だ。しかし、まるで僕を見守るような笑顔というのは、これいかに。カルティエ 結婚指輪
「……実代?」「まさか、そこまで私のことを考えてくれていたとは驚きだよ。いやはや、我ながら中々の役者だと思ったが、誠二のまさしく心からの言葉に、思わず素に戻ってしまった。シナリオ通りならば、ここから私の屁理屈が並ぶはずなのだが……返す言葉がないとはこのことだ」 実代の言葉が理解できずに、首をかしげる。カルティエ 結婚指輪
役者。素に戻る。シナリオ。 まるで、実代が何かを演じていたかのような言葉だ。もし、そうだとするならば、この喧嘩らしきものは――「どうだろうか。誠二が掛け値無しに怒るなら、文芸部のことだと思ってな。ただ、いきなり廃部にしようと言っては、怪しまれて終いだろう。そこで、昨日偶然見かけた様子を利用して、別の話題から入ってみた。まがりなりにも、痴話喧嘩を体験できたと思うのだが」カルティエ 結婚指輪
やられた。 そうだ。よくよく考えてみれば、実代が意固地に浮気だと言い張る時点でおかしかった。僕が説明して、納得がいかなければ、納得のいく証拠を求めるだろう。それもなく、僕の意見を封殺しにかかる時点で、実代の思惑に気付くべきだった。「……ひどいよ。僕が独り相撲をやってただけ、か」http://www.cartieronline.biz関連記事:
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